腰の痛みについて
以前軽くですが腰痛のことについてご説明しました。
しかし、腰の痛みは1種類だけではありません。
原因や痛める部位、痛め方によっていくつかに分けられます。
それぞれ違った特徴を持つので、注意が必要です。
まずはご自分の腰痛がどれに当たるのか知っていきましょう。
目次
様々な腰の痛み
腰痛には、鈍痛が続く慢性的なタイプと、突然動けなくなるほどの激痛に襲われる急性的なタイプとがあります。
また、その原因も普段の姿勢の悪さ、激しい運動や労働による疲労や損傷、老化、脊髄神経の異常、内臓や全身性疾患、心因性のストレスなどさまざまです。ここでは、腰痛の代表的な症状と原因についてご説明します。
筋・筋膜性腰痛症(一般的によくいわれる腰痛)
腰を支える筋肉に疲労がたまり固くなってしまった状態です。
その他の症例と違いはっきりとした原因がなく、痛くなった時期があいまいなことが多いのも特徴です。
軽い症状であれば、軽いストレッチやマッサージで改善しますが、筋肉の疲労が積み重なると、筋肉のこわばりがより強くなり、自分の力ではなかなか改善できなくなります。
この状態を放っておくことによって、よくいわれている腰痛症となります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、何らかの大きな外力(転倒、尻もち、重いものを急に持つ、強くひねる)により、腰椎部分の椎体と椎体の間にある椎間板に亀裂が入り、中の髄核が押し出され、それが脊髄神経(神経根)を圧迫するため、激しい痛みを生じるといわれています。
痛みは腰だけでなく、臀部から足にかけてひどい痛みやしびれを感じることがあり(坐骨神経痛)、筋力の低下や感覚異常などを起こすのが特徴です。
また、ひどい場合は排尿ができなくなることもあります。(圧迫される部位や程度により)
原因としては、背骨に負担をかけている日常生活(長時間の座り仕事や運転、運動など)、椎間板の老化、姿勢の悪さからくる骨盤~背骨の歪みなどがある状態で、急に腰に大きな力が加わることにより生じます。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、椎間板や椎間関節の老化、変形などにより、脊柱管が狭くなり、脊柱管の中を通っている神経が圧迫されるために痛みやしびれが起こる状態です。40〜50代以上、特に高齢者に多くみられ、女性より男性にやや多くみられます。
長時間の歩行が痛みによってできなくなりますが、少し休むとまた歩き出せるのが特徴です。(間欠性跛行)
腰が伸びた状態で痛みや足へのしびれが強く、背筋を伸ばして歩くと、腰から足の裏にかけて痛みやしびれを感じたり、足がもつれたりします。
このような症状は朝や寒い季節に多く現れ悪化すると、背中を丸めて寝ないと痛くて眠れなくなります。
変形性脊椎症
変形性脊椎症は、椎間板の老化から上下の脊椎の骨が変形したために起きます。
変形に伴い周囲の筋肉・靭帯も弱くなります。
若い頃から肉体労働をしてきた人や激しいスポーツをしてきた人に多く見られます。
痛みの直接的な原因は、椎間関節の老化、椎間板症、脊椎体からの骨棘による圧迫などにより起こるものと考えられています。
腰椎を支える筋肉がこわばり、動作の時に痛みを感じますが、身体を動かしていると軽減してくるのが特徴です。しかし、疲れがたまると再び痛みが出てくるので、決して無理をしないことが重要です。
ギックリ腰(急性腰痛)
膝を曲げずに重い荷物や物を持ち上げたり、急に身体をひねったとき、あるいは十分な準備体操なしで激しい運動をするなど、腰に急な負担をかけたときに立ち上がれないほどの痛みを感じます。
多くの場合は発生した直後は比較的動けるのですが、翌日になると布団から起き上がれなくなります。
痛みの直接の原因は、
① 腰椎の周辺にある関節包や靱帯、筋肉、椎間板などを強く捻挫あるいは大きく損傷した場合
② 老化や長期間の腰への負担がある状態で、ちょっとした無理な動作が引き金となって起こる場合
の2つに大きく分けられます。
その他の腰痛
最後に、転んだり事故に遭うなどして、外部から衝撃を受けた後の腰の痛みには注意が必要です。
特に高齢の人の場合、打撲だけだと思っていたのに、骨折していたという場合は意外と多くみられます。
安静にしていても痛むときや、患部に熱がある、内出血している、痛みがなかなか引かないというような場合は整形外科の診察を受けることをおすすめします。
また、腰痛は腰そのものが悪くなくても、内臓などの疾患によって引き起こされることがあります。
これらの痛みは、鈍痛となって慢性的に起こることがほとんどです。
泌尿器科疾患などのほか、悪性腫瘍の転移など重い病気の可能性もあります。腰痛が長引くときや、夜間寝ている時に痛みがひどくなるときは、軽い腰痛と見逃さず、整形外科で診察を受けましょう。